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【2026年4月施工】区分所有法改正で何が変わる?大規模修繕工事への影響を実務目線で解説

【2026年4月施工】区分所有法改正で何が変わる?大規模修繕工事への影響を実務目線で解説

2025年に成立した区分所有法の改正が、2026年4月1日より施行されました。
今回の改正は、マンションの老朽化や管理不全といった社会課題を背景に、制度を現実に即した形へ見直す大きな転換点となります。

特に大規模修繕工事においては、「合意形成が進まない」「意思決定に時間がかかる」といった従来の課題に大きく影響する内容です。

 

本コラムでは、改正の具体的なポイントと、大規模修繕工事への実務的な影響について解説します。

改正の背景 “決められないマンション”の増加

改正の背景 “決められないマンション”の増加

築30年を超えるマンションが増加する中、次のような問題が顕在化しています。

・区分所有者の高齢化
・相続未登記による所有者不明
・空き住戸の増加
・修繕積立金不足

 

これにより、

「修繕したくても決められない」
「必要な工事が先送りされる」

といった状況が全国的に発生しています。

今回の改正では、こうした問題を解消するため、意思決定の円滑化が大きなテーマとなっています。

 

改正の主なポイント

① 多数決による建物再生の選択肢拡大

従来、建替えには区分所有者および議決権の各5分の4以上という厳しい要件が必要でした。

今回の改正では、

・建替え
・一棟リノベーション(建物更新)
・解体・敷地売却

といった選択肢が、一定の多数決で実施可能となりました。

▶老朽化マンションの「放置」を防ぐ制度へと変わっています。

 

② 所有者不明・連絡不能者への対応

 

相続未登記などにより増加している所在不明者について、

・裁判所の関与
・決議の特例措置

が整備されました。

▶一部の所有者によって意思決定が止まるリスクが軽減されます。

 

③ 管理不全マンションへの是正措置

管理組合が機能していないマンションに対して、

・行政の関与
・専門家の活用

が制度として位置付けられました。

▶長期間放置されるマンションの減少が期待されます。

 

④ 共用部分の修繕・変更ルールの整理

従来は、

・「修繕」か「変更」か
・必要な決議要件

の判断が難しく、現場で混乱が生じることもありました。

改正により、

・実態に応じた区分整理
・決議要件の明確化

が進み、適切な手続きで工事を進めやすくなっています。

決議の考え方はどう変わるのか(重要ポイント)

今回の改正で、実務に最も影響が大きいのがこの部分です。

従来は、総会決議において所在不明者も含めた全区分所有者を母数として判断する必要がありました。

そのため、

・連絡が取れない所有者がいる
・相続未登記の住戸がある

といっただけで、決議が成立しないケースも少なくありませんでした。

 

 

■ 改正前後のイメージ

【改正前】
・全区分所有者が母数
・不明者もカウント
▶ 実質的に反対扱い
▶ 決議が成立しにくい

【改正後】
・所在が確認できる所有者を基準
・出席者ベースでの決議が可能なケースあり
▶ 現実的な多数決が成立
▶ 意思決定が進みやすい

 

この変更により、

「人が足りず決められない」から
「議論して決める」状態へ大きく転換します。

大規模修繕工事においても、これまでの大きな障壁であった決議未成立リスクの低減につながります。

大規模修繕工事への影響

大規模修繕工事への影響

① 工事が進みやすくなる

決議要件の合理化により、

・総会否決
・合意形成の長期化

といった理由で工事が止まるケースは減少すると考えられます。

▶適切なタイミングでの修繕実施が現実的になります。

 

② 説明責任の重要性が増す

意思決定が進みやすくなる一方で、

・工事の必要性
・仕様や数量の妥当性
・費用の適正性

はこれまで以上に厳しく見られます。

▶「説明できる工事」から
▶**「納得される工事」へ**

施工会社の役割も変化します。

 

③ 第三者関与が前提に

今後は、

・マンション管理士
・設計監理者
・修繕コンサルタント

の関与が一般化すると考えられます。

▶透明性の高い工事が求められます。

修繕積立金という“次の課題”

今回の改正により意思決定は進みやすくなりますが、

もう一つの大きな課題が残ります。

それが修繕積立金の不足です。

国土交通省のガイドラインでも、将来の工事費増加を見据えた適正な積立の必要性が示されていますが、

実際には、

・積立額が低い
・長期間見直されていない
・値上げの合意が難しい

といったケースが多く見られます。

 

今回の改正により、

「工事をやるか」は決めやすくなる一方で
「費用をどう負担するか」が大きなテーマとなります。

今後は、

・積立金の見直し
・一時金徴収
・工事内容の精査

といった資金面での合意形成がより重要になります。

まとめ “できるか”から“どうやるか”の時代へ

今回の区分所有法改正により、

・意思決定の円滑化
・管理不全の是正
・建物再生の選択肢拡大

が進みます。

そして大規模修繕工事は、

「実施できるかどうか」から
**「どのように実施するか」へ**

議論のステージが変わります。

今後は、

・根拠ある提案
・透明性の高い見積
・資金計画を含めた現実的な提案

が、これまで以上に求められます。

制度が変わった今こそ、マンションの資産価値を守るための修繕のあり方が問われています。

 

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